ヨガ哲学
気がつかない間に他の人の大切なものを盗んでいませんか?
アスティア(不盗)とは
今日はヨガ哲学の八支則の中のヤマ(禁戒)の中の一つ。不盗「盗まないこと」アスティアについて
「いえいえ、私はそんな法に触れることはしませんよ」と思うかもしれませんが、このアスティアの不盗は決してお金や物を盗むという意味だけではなく、
他人の時間や経験や言葉や感情など物質的なもの以外の事も表しています。
物を盗めば訴えることもできますが目に見えないものを奪われるととても厄介です。
自分には当てはまらないかな〜と思っている方、思い返してみましょう。
- 知りたいことを努力せずに質問ばかりしていませんか?→質問すること自体は良いことですが、常識の範囲を超える長さや回数、誰に聞くのが適切かを、何を聞きたいのかをよく考えてから質問しないと他者の時間を奪っています。
- 愚痴や相談をいつも聞いてくれるからと話し続けていませんか?→気の毒で親身に聞きますがこれも繰り返されたり長びくと時間を削ることになります。
- 遅刻をしませんか?または遅刻はしないけどスケジュールの変更を軽くしていませんか?→あなたにも都合はありますがお相手の都合やそのまたお相手の都合など間接的にたくさんの人の時間を奪っています。
- 本で見たことや人から聞いたことを自分の言葉や案のように話していませんか?→それは人の言葉を奪っています。自分の言葉にするなら知識と経験を通して発するべきです。
- いつもしてくれているからと感謝をしない、または表面上は感謝を伝えているが自分より相手の方が時間(お金)があると心のどこかで思っていませんか?→相手が時間があろうとお金があろうと本人のものです。他者のために使う時間やお金は愛情や努力で成り立っているものだということを理解しましょう。親子や家族、恋人や恩がある人であっても積み重なると限界が来て「もう何もしたくない」という感情が芽生えます。
- 誰かに借りたものを催促されないからと放置していませんか?→これは物質的に奪っています。
- 子供の行動で、全て先回りして手を出していませんか?→経験を奪っています。
- 機嫌で嫌味を言ったり不機嫌さを全身で表現したりしていませんか?→周りの人の感情を奪っています。イライラは伝染するのです。
- 親切の押し売りをしていませんか?例えば他者の会話に知識をひけらかすように口出ししたり、欲しくないものを誰かに押し付けたりしていませんか?→適度な会話や親密な関係であれば神経質になる必要はありませんがこの人に聞いていないのに…と思う方もいます。食べ物などの手土産では苦手な食べ物やアレルギー、ダイエット中であったり手作りが苦手という方もいます。もらった後にどう処分するか悩む時間と罪悪感という相手の感情を奪っています。特に手作りの場合は誰かにお裾分けなどもできませんので持っていく前に前もって聞きましょう。いきなり渡されても困ります。
- 誘うときや頼むときに、どういった理由で聞いているのか言わずに「明日何してる?」「時間ある?」「明日お仕事お休み?」という感じで聞くことはありませんか?→このような聞き方で頼み事をよくする人には、どうしても普段から「忙しい」というワードを連呼しがちになり、聞かれる側が愚痴っぽくなり精神的に疲れていくので感情を奪い、断るチャンスや時間も奪っています。
- 人には気を遣えるけど自分の時間を削って無理をしたり、だらだらゴロゴロ無駄にSNSやネットに浸っていませんか→これは私もとても当てはまるのですが自分自身の時間や体力を奪っています。
ここまで読んで私は大丈夫だな〜と思った方、そんな人は存在しません。
アスティア(不盗)は完璧に守れません
パタンジャリの※ヨーガ・スートラでは「われわれはすべて盗人である」と記されています。
はじめに言いましたが、ものだけではありません。
私たちは息を吸って空気を奪い、生き物を食べることで命を奪います。
他者と関わり、話を聞いてもらって愚痴も言い合い、支え合って生きています。
ではどうすればこの禁戒の実践が出来るのでしょうか?
- 自分でできることは他人に要求しない
- 一度してもらったことを今後もしてもらえる、または当たり前と認識しない
- 自分の役目を他人に押し付けない
- 長々と自分の話ばかりを続けない
- 人の話に割り込まない
- 質問はほどほどに
- 他者から聞いた言葉を自分の言葉のように話さない
- 自分の価値観(手助けや親切)と人の価値観は違うという認識を持つ
- 手助けをお願いする場合、相手が自分のために費やす労力を当たり前だと思わない
- お願い事は、相手の予定を聞く前に事情を説明し、断れる聞き方をしましょう
- そして大地からの恵みは必要な分だけ。貪らず感謝の気持ちを持って頂く
奪うことが多い人の特徴
常に相手より多くを受け取ろうと行動します。自分がより有益になるように持っていき、相手が望んでいることよりも自分の利益を優先していくタイプ。
相手が望む応えより、自分がすごいと思われたいので決めつけが多く、他の人の会話を奪います。
損得勘定で人と付き合う場合も多く、多く取った方が勝ちと思っていて、一見無意識のように感じますが心のどこかで自分が相手より有利になろうとして行動していることや、負担をかけていることを気づいています。
相手より有利に立ちたいので断られるのも嫌いで、上に書いたような誘い方や頼み方をします。
相手が嫌な思いをしたとしても自分が得をしたいという人は、アスティアの実践をしない(できない)ので、
近くにこんな人がいるとエネルギーを消耗していきます。
要求や押し付けが多い人への対応は
- 負担の大きなことは断りましょう
- やってあげすぎると、当たり前になることがあります。苦しくなる前によく考えて行動しましょう。
- 断って相手が不機嫌になったとしても罪悪感を持たないようにしましょう。
- 自分の時間を大切にし、ボーダーラインを作りましょう。
アスティアはなんのために実践するのか
もしお願い事をするなら、みなさん親しい人にお願いしますよね?相談事もそうです。
けれど繰り返し貴重な時間を割かれてしまうと、大切に思ってる人達が離れていくかもしれません。
努力をせずに質問ばかりしているとうわべだけの知識があるだけで役に立ちません。
繰り返しスケジュールの変更をしたり、遅刻をしたり、人の言葉を奪うとどんどん信用を無くします。
良かれと思ってしたことでも相手にとって押し付けであれば距離を置かれることも。
そして、してあげることが好きな性格の人は限界まで耐えて爆発する事が多いのです。取り返しがつかなくなる可能性も。
結局はちょっとした甘えが積み重なると全てが自分自身に返ってくるのです。
できるだけ親しい人にも、感謝の気持ちやリスペクトする気持ちが伝わるように、そして自分の価値観を押し付けないように、
その気持ちが大切なのです。
してもらいすぎることも、してあげすぎることも疲れます。このバランスを取ることが人間関係もスムーズになり何より自分自身の内面が健全になります。体を鍛錬するには心も健康であることが何より。
ヨガはみんなが思っている、○○のポーズといったことだけではなく心の修行でもあるのです。ちょこっと気にして行動してみてください♡
※ヨーガ・スートラ ヨーガ(サンスクリット語の正しい発音に近いのはヨーガとなります)の定義、実践方法や修行による解脱を説くヨーガ学派の教典です。ヨギーでなくても私たちが生活していく上でとてもためになることが書かれています。
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